【コラム】メタル・ザ・カナガワ #3
- The Cromwell
- 2020年4月27日
- 読了時間: 4分
更新日:2022年1月23日
The CROMWELLのリーダー内藤まさみ。神奈川県内で精密板金加工を手掛けている。
その技術を活用し製作したギター【メタル・ザ・カナガワ】について、三回に渡りインタビュー形式でお話を伺っていく、その最終回。 今回は長文になりますが、どうぞ最後までお付き合いください。
最終回
Q. 地元の市役所に展示された後日談が有ると伺いましたが、教えていただけますか?
A. 綾瀬市の形をしたギターも欲しいという事を市の方から言われていたんですが、実は現在、市のふるさと納税の返礼品に採用されまして、50台を製作中です。
その名も「あやせギター」と言うそうですが、綾瀬市がどのようなこだわりで製作に乗り切ったのかを、綾瀬市のリーフレットから抜粋しつつご紹介致します。

こだわりポイント
1. すべて、一枚の板から
「職人だったら難しい加工に挑戦しなくては」という、町工場のものづくりに火が付きました。
2. 本物の太さ
本物の弦の太さを再現。完成したのは、鉄板でできた“本物と同じ太さの弦”。「無理だ」の声が「すごいじゃないか」に変わりました。
3. あやせのかたち
“ものづくりのまち あやせ”。そんな特色を形にしたいと、“あやせのかたち”をギターに落とし込みました。作ってみると“あやせのかたち”はギターに適した形だったのです。
4. 本物のフレット
プロ・アマ問わず世界中のギタリストが愛用するフレットを作るメーカーが綾瀬にあります。その品質と技術の高さから世界中で愛される本物のフレット。それを“あやせギター”に埋め込みました。
5. 木工職人の手作り
額は、熟練の木工職人がノミとカンナで一個一個手作りしました。ギターが収められるくぼみは、“あやせギター”の形に切削され、釘を使わず製作されています。
6. All Made in Ayase
想いをのせて、まるでリレーのように、企業から企業へ、職人から職人へ、綾瀬市内を巡って“あやせギター”は完成しました。
Q. 今回は様々な企業、職人が協力して作っているという事なんですね。
A. 当社(㈱ビナ・テック feat.響研業)はギター本体を担当いたしましたが、その他の部分を請け負ってくださったところをご紹介致します。
木製の額:㈱オクト
航空機・自動車産業の型、治具から、複合素材のデザインモックアップなど。スポンジ・木材・金属・炭素繊維強化プラスチックまで多様なニーズに幅広く対応。
フレット:㈱三晃製作所
YAMAHA・Fender・Martinなど、世界の純正品として採用されている。鉄道模型のレールやその他異形線まで、創意と努力でニーズに応える。
フレット圧入・組立:(社福)唐池学園 コペルタ貴志園
企業就労や福祉的就労に力を入れており、下請産業と食品加工の現場で、働く障害者が活躍している。実践と同様の環境を作り、日々トレーニングに励んでいる。
Q.たくさんの人の手がかかって出来上がっていくんですね。どのような工程で作られていくのですか?
A.ギターは通常、何十ものバラバラに作られたパーツで構成されています。 この“あやせギター”は、一枚の鉄板から製作されているため、フレットやネジを除き、展開するとつながった一枚の板に戻るんです。鉄板を切り抜き、折り紙のように何度も何度も折り曲げ、磨く。これだけ複雑で、繊細なものを一枚の鉄板で作るのは至難の業です。
その過程を、リーフレットからご紹介しましょう。
切り抜き 元の切り抜きは企業秘密。細く長いものを切るのは至難の業。 機械の限界に挑戦した職人技です。 取り外し・折り曲げ 歯を何度も交換し、12回も折り曲げます。 折るたびに立体感が増し、“ギターっぽい板”が“ギター”へと近づいていきます。 磨き・フレッド加圧 繊細な部分の磨きはまさに職人技。 心を込めて磨いた後は、フレットを圧入。ネックの幅ピッタリに切り落とします。 180°曲げ、銘板貼り、仕上げ 弦と本体は先の部分で曲がっているため180°折り曲げ、ぴったり平行にします。 レーザーで切り抜かれたグニャグニャの弦を、ネジで引っ張り真っ直ぐに仕上げます。 最後に“釘を使わない額”に入れ、銘板を貼り、完成です。
Q. こうやって箇条書きにするだけでも、すごい技術が使われているであろう事が伺えますね。ところで、メタル・ザ・カナガワは実際に弾けるギターでしたが、あやせギターは…?
A. ミニチュアですので、実際に演奏はできません。
Q. これだけ細かな技術をミニチュアで?大きさはどれくらいなんですか?
A. 全長30センチになります。
30センチのミニチュアに詰め込んだ技術の高さには驚かされるばかりです。ふるさと納税の納税額は定かでは有りませんが、ご興味の有る方はいかがでしょうか。

そして、The CROMWELLでまた使用されるかもしれない「メタル・ザ・カナガワ」。こちらは実際に演奏できるギターです。どんな音がするのか、実際に聴いてみたくなりますね。今後のLive情報をお見逃し無く!
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